今回は2021年2月5日に販売開始されました「リベルサス」についての記事です。
- GLPー1製剤が経口投与にできるようになった理由は?
- 注意点は?
等々をまとめてみました。
この記事を読んでわかること
- リベルサスとはなんたるや
- リベルサスを経口投与可能にできた理由
- 服薬指導にも使えるリベルサスの特徴や注意点
発売されたばかりでまだまだ情報が少なく、お役に立てるかわかりませんが、現時点でわかってることをまとめていきます!
では行ってみましょう!!
この記事のもくじ
リベルサス(セマグルチド)とは?

リベルサス錠は2021年2月5日に発売が開始された世界初かつ現在唯一の経口GLPー1製剤です。
リベルサスの用法・用量は以下の通りです。
用法及び用量
通常、成人には、セマグルチド(遺伝子組換え)として 1日1回7mgを維持用量とし経口投与する。ただし、1日1回3mgから開始し、4週間以上投与した後、1日1回7mgに増量する。なお、患者の状態に応じて適宜増減 するが、1日 1回7mgを 4週間以上投与しても効果不十分な場合には、1日1回14mgに増量することができる。
少量開始の理由は消化器症状のSE軽減の観点からだそうです。
実際5%以上で悪心、下痢の副作用が見られるようです。
適応は2型糖尿病のみで1型糖尿病には使用できません。
また、リベルサス の作用機序は以下の通りです。
セマグルチドは、膵β細胞上のGLP-1受容体に結合し、ATPからcAMPの産生を促進させることにより、グルコース濃度依存的にインスリンを分泌させる。さらに、血糖値が高い場合にはグルカゴン分泌を抑制する。
セマグルチド、他にもなんかあったよね?
セマグルチドってどこかで聞いたことあるような、、、
と思ったら君「オゼンピック」のことだったのね‼︎
ってなりましたw
週1の注射剤だったオゼンピックが今回経口製剤になったというわけですな。
なぜ経口投与が可能になったのか

構造式はググっていただければわかるのですが、ペプチドなので分子量が大きく、消化管からの吸収がすこぶる悪い。
そんなセマグルチドがなぜ経口製剤として可能になったのか?
その秘密は今回リベルサスに添加剤として含まれている「サルカプロザートナトリウム(SNAC)」がセマグルチドの吸収促進剤として大役を担っているから。
インタビューフォームでSNACについての記載がある部分を探したら以下の通りでした。
【経口投与】
ペプチドをベースとするセマグルチドは、分子量が大きいことから、消化管での透過性が低く、また、胃の分解酵素により分
解されてしまうため、経口投与は適していなかった。しかし、吸収促進剤であるSNAC300mgを製剤に含有することにより経口
投与が実現した。SNACを含有する経口セマグルチド(製品名:リベルサス®錠)は、1日1回投与により定常状態での曝露量
の変動を抑えることができる。
本剤の崩壊は、セマグルチドが主に吸収される胃内で起こる。吸収は錠剤表面の周辺部に限定されている。セマグルチドの
吸収にはSNACとの製剤化が必要である。SNACの局所でのpH緩衝作用により、セマグルチドの急速な酵素的分解を防ぐこ
とができる。吸収促進作用は一時的かつ可逆的である。吸収のメカニズムとして経細胞吸収によることが示されており、脂質
膜を流動化することと、セマグルチドの自己会合を間接的に弱めモノマー化を促進することが確認されている。
添加剤のおかげで経口製剤として成り立つっていうのがすごいですね。奥が深いわ。たかが添加剤、されど添加剤。
飲み方が特徴的すぎる件
リベルサスの服用についてはまとめてみると以下の通りです。
- リベルサスは空腹時(1日の最初の飲食の前に)
- 1錠をコップ約半分の水(約120ml以下)で服用(割ったり噛んだり砕いたりしない)
- 飲食や他の薬の服用は、リベルサスの服用から30分以上間隔をあけること
上の2で「1錠を」と書かれている理由は後にわかりますw
それでは細かく見ていきましょう。
リベルサスは空腹時(1日の最初の飲食の前に)
起床時がお勧めとのことで、まるでビスホスホネート製剤のようですね。
飲み忘れたり、服用前に飲食してしまったらその日の服用はしないで下さいとのことです。
1錠をコップ約半分の水(約120ml以下)で服用(割ったり噛んだり砕いたりしない)
なるべく少なめの水で的な感じですね。
インタビューフォームにも記載があり、飲水量が多いとCmaxの低下が懸念さえるみたいです。
あとは、水以外の飲み物での服用や服薬ゼリーの使用も控えてとのことですがこちらはそもそも水でしか試験を行なっていなかったため、水以外での服用の影響が明らかではないことから、水での服用を勧めているそうです。
飲食や他の薬の服用は、リベルサスの服用から30分以上間隔を開けること
胃内にリベルサス以外の薬剤があるときの試験はインタビューフォームより以下のような内容でした。
健康被験者を対象に、本剤 14mg とプラセボ錠 5 錠を 1 日 1 回 5 週間反復投与(空腹時、飲水量 120mL、投与後 30 分以上絶食)したところ、プラセボ錠非併用時と比較して、併用投与時でセマグルチドの曝露量は、Cmaxでは 32%及び AUC0-24hでは 34%小さかった(外国人データ)。
他の薬と一緒に飲むとCmaxもAUCも低下してしまうので辞めてねってことみたいです。
投与量は3mgから徐々に増やしていく形を取るわけですが、消化器症状のSE防止のために徐々に増量するの既視感がある。
そうそう。「アリセプト」っぽいなって思ってたんですよね。
2錠の服用はできない?
今回リベルサスは「3mg」「7mg」「14mg」と3つの規格があるのですが、
7mgから14mgに増量したとき、14mgを1錠飲む代わりに7mg2錠を服用してはいけないというまさかの事態。
なので患者さんに
「前来た時の薬が余ってるんですね!じゃあそれがなくなるまでは7mgを2錠で飲んでいただいて構いませんよ〜」
なんて言えないわけですよ。そんでなくてもお高めなのに。悲しみ。
納得がいかないのでインタビューフォームを見てみたらこんな文言がありました。
本剤は胃で崩壊・吸収され、吸収は錠剤表面の周辺部に限定されることから、SNAC の投与量の差異、及び物理的に 2 つの錠剤が胃内に存在することが本剤の吸収に影響を及ぼす可能性がある。本剤の 1 回の投与で複数錠を患者に服用させるような処方は避けること。
なんか。難しいこと言ってるね、、、
吸収が錠剤表面の周辺部に限定されるということは2つ服用して胃内で重なっちゃったりすると予想外の吸収のされ方になるってことなのかな?
ヒートの立て切りが不可?
リベルサスの保管方法で、
「シートを切る時はミシン目以外で切らないでください」
との記載があります。
こちらも理由について調べてみるとインタビューフォームに以下の記載が、、、
PTP 包装シートにて防湿を確保しており、ミシン目以外の場所で切り離した場合の製剤に与える湿度の影響は確認していない。
本剤を奇数錠処方する際には、10 錠包装シートのミシン目以外の部分を切り離さず、本剤の 7 錠包装シートを使用すること。
そもそもミシン目以外のところで切り離した時の防湿性って、他の製剤は試験しているのか??
って思ってしまったのですが、それは置いておいて。
この書き方は
「10錠ヒートと7錠ヒートどちらも在庫してくださいね🤗?」
っていう圧を感じる。
そんなん、薬局の在庫殺しですな。
どうか処方元のDr.の皆さん、「7の倍数」か「偶数」に処方日を揃えてくださいますよう深くお願い申し上げます、、、笑
そして発売から1年経って14日制限が解除される頃には色々と改良されている事を祈ります、、、
追記
2022年3月現在では7錠シートは販売が終了しています。
縦切りに関してもメーカーから現在はOKが出ています。
まとめ
というわけで、今回はいろんな意味で話題の新薬「リベルサス」についての記事でした。
皆さんのところではもう在庫されていますかね?
リベルサス についてはMSDのサイトからいろいろ見れますので良ければ下記リンクからご覧ください。
https://www.msdconnect.jp/products/rybelsus/
ではでは今日はこの辺で。
最後まで読んでくださりありがとうございました!