今回は潰瘍性大腸炎などに使われよく名前を聞くこともあるペンタサとアサコールについてです。
どちらも主成分はメサラジンですが一体何が違うのか勉強していきましょう。
この記事を読んでわかること
- ペンタサとアサコールとはなんたるや
- アサコールについて
- ペンタサについて
- ジェネリック時の区別の仕方
ペンタサとアサコール
ペンタサとアサコールはどちらも成分名は「メサラジン(別名:5−アミノサリチル酸)」です。
「潰瘍性大腸炎」や「クローン病」に用いられます。
メサラジンは「抗炎症作用」をもつ成分です。
潰瘍性大腸炎の治療には「サラゾスルファピリジン」という成分を用いることもありますが、副作用の出現率が多かったそうです。
そこで「サラゾスルファピリジン」を「5−アミノサリチル酸」と「スルファピリジン」に分け、「5−アミノサリチル酸」のみを取り出し製品化したそうです。(スルファピリジンによる副作用である薬物アレルギー、頭痛、吐き気等の軽減のため)
奥が深いねメサラジン、、、
アサコールについて
アサコールは製品化されているのは錠剤だけです。(400mg錠)
アサコールの適応と用法用量は以下の通りです。
・適応:潰瘍性大腸炎(重症を除く)
・用法用量:1日2400mgを分3 食後に経口投与(減量)
寛解期は必要に応じて1日1回2400mg
活動きは1日3600mg 分3 食後に経口投与(ただし8週間を超えて投与した場合の有効性及び安全性は未確立)
アサコールはいわゆる「腸溶性製剤」でpH が7以上になると溶けるように設計されています。
この設計によって胃の中では溶けないように作られています。
胃を通り過ぎてpH が7以上になる回腸〜大腸に到達するとコーティングが溶け始めて作用が現れます。
潰瘍性大腸炎において治療効果は大腸のメサラジン濃度と相関するようです。
このため大腸に高い濃度で到達できるアサコールの製剤は潰瘍性大腸炎の治療にもってこいな製剤であると言えます。
アサコールは薬の殻が糞中に排出されるので、服薬指導時に患者さんにお話しておきたいですね。
ペンタサについて
ペンタサでは錠剤・顆粒剤・坐剤・注腸剤と幅広く剤形があります。
錠剤も規格が2つあり、250mg錠と500mg錠があります。
ペンタサの適応と用法用量は以下の通りです。
・適応:潰瘍性大腸炎(重症を除く)
クローン病(注腸・坐剤は除く)
・用法用量:潰瘍性大腸炎 内服 1日1500mg 分3 食後 (増減)
寛解期には必要に応じて1日1回投与とすることができる 1日2250mg上限
ただし活動期には必要に応じて1日4000mgを2回に分けて投与可能(こちらも8週間超えて投与した際の有効性及び安全性は確立していない、漫然投与は継続しないこと)
注腸:1日1回 直腸内注入(増減)
坐剤:1日1個 直腸内挿入
クローン病 1日1500-3000mg 分3 食後(増減)
ペンタサ錠はメサラジンを「エチルセルロース」でコーティングした放出制御製剤(徐放錠)になっています。
このコーティングでは小さな穴が開いているため、少しずつ薬がその穴から放出されます。
この設計からペンタサ錠は小腸から大腸にかけて広く薬が作用し、「潰瘍性大腸炎」だけでなく小腸にも病変が及ぶこともある「クローン病」にも適応が取れています。
糞便中に白いコーティング剤である「エチルセルロース」が見られることがあるそうです。
また、ペンタサの錠剤は徐放錠ですが2分割にして服用することは可能です。(添付文書にも記載あり)
ちゃそのいる薬局でも500mg錠を半割することがあります。
ジェネリックになったらどっちもメサラジンでは?

ジェネリック医薬品になると表記は一般名になりますよね。
「あれ、どっちもメサラジンでは???」ってなります。
アサコール錠の後発品は【メサラジン腸溶錠400mg「メーカー名」】
ペンタサ錠の後発品は【メサラジン錠250or500mg「メーカー名」】または【メサラジン徐放錠250or500mg「メーカー名」】
と表記されます。
このためジェネリック名や一般名で処方されているときはアサコールとペンタサどちらの後発品なのかは規格と〇〇錠の違いで見極められるということになります。
もう1つあるよ、メサラジン
実は成分がメサラジンの薬はもう1つあります。
それが「リアルダ」です。
リアルダは2016年11月に発売開始された比較的新しいお薬です。
リアルダの適応と用法用量は以下の通りです。
・適応:潰瘍性大腸炎(重症を除く)
・用法用量:1日1回2400mgを食後経口投与
活動期 1日1回4800mgを食後経口投与、状態によって適宜増減(※同じく8週間を目安に有効性を評価し、漫然と継続しないこと)
リアルダは1錠が1200mgなので活動期でもアサコール、ペンタサに比べて少ない4錠で済みます。
ペンタサは小腸下部のpH に応答するフィルムコーティングが溶解され始めて大腸内で持続的に放出される作りとなっています。
また親水性基材と親油性基材のマルチマトリックスにメサラジンを分散させておくことで、メサラジンが徐々に消化管中に放出されます。
このため標的部位の大腸に効率的に送達すると共に、大腸全体に持続的に放出することが可能である製剤となってます。
まとめ
- アサコール錠は潰瘍性大腸炎のみ、ペンタサ錠は潰瘍性大腸炎とクローン病に適応がある。
- アサコールは錠剤のみだが、ペンタサは錠剤と顆粒剤、坐剤、注腸剤が製品化されている。
- アサコールは腸溶性製剤、ペンタサは放出制御製剤である。
- どちらの後発品かは規格と剤形の記載で判断できる。
- リアルダは1錠が1200mgと含有量が多く、大腸での溶解に特化したマルチマトリックス製剤となっている。
とこんな感じになっております。
そのうち「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」の病態の比較もさらに勉強して記事にしようかなと思っています。
潰瘍性大腸炎とクローン病の比較は薬剤師国家試験でも問われることがちょこちょこあるので薬学生にも役立つかなと。
少しでもこの記事が勉強になった、役に立ったと思っていただけたら嬉しいです。
それでは今日はこの辺で😆
最後まで読んでいただきありがとうございました❣️