今日はインクレミンシロップが大人に処方された話を書いていきます。
大人で高齢者でもないのになんでシロップで出てるんだろう?とふと疑問に思って書いた記事です。
この記事を読んでわかること
- インクレミンシロップとはなんたるや
- 成人にインクレミンシロップが出るメリット
- インクレミンシロップの成人量
- インクレミンシロップの服薬指導時の注意点
ではでは見ていきましょう!
インクレミンシロップが大人に処方されてきた
基本的に私のいる薬局では「フェロミア」が1番処方がとんできている気がします。
あとは「フェロ・グラデュメット」
「フェルム」はそこまで見ない気がします。体感としては。
とある日に以前は「フェロミア」で処方がとんできていた方の処方が「インクレミンシロップ」でとんできました。
シロップか、と思い調剤していたんですが、ふと気になって添付文書を覗いてみると
「ん???小児用量しか記載なくない?成人には使わうことは予想されてないんか」
となったんです。
とりあえず、インクレミンシロップについて学んでみよう❗️
インクレミンシロップとは?
・成分名:溶性ピロリン酸第二鉄
・適応:鉄欠乏性貧血
・用法用量:1歳未満 1日2−4ml(鉄として12−24mg)
1−5歳 1日3−10ml(鉄として18−60mg)
6−15歳 1日10−15ml(鉄として60−90mg)を分3−4
・味、風味:さくらんぼ味
ちゃそ自身、味見しましたが「風味はさくらんぼ味なのか?」とも思いつつ、
「まあ、言われてみればそうかもなあ」って感じでした。
個人的には梅酒感あるな❗️と思いました。
とにかく甘いです。
この甘みは添付文書によると「D-ソルビトール」によるものだそうです。
そしてこのインクレミンシロップ、「第二鉄」
吸収効率が第一鉄に比べて低いです。
VCと一緒に摂取すると吸収効率が上がるようです。
インクレミンシロップにするメリット
インクレミンシロップにするメリットとして考えられるのが
「消化器症状」の軽減です。
インクレミンシロップに処方変更することで、吐き気等の副作用が軽減するという報告もあります。
実際ちゃそがお話しさせていただいた患者さんも、「インクレミンシロップは気持ち悪くならずに飲める」と仰っていたので、個人差はあるにしろ、フェロミアで服用継続困難な方に試してみる価値はありそうですね。
成人量は???
添付文書には小児量しか載っていなかったので、Dr.の処方量があっているか手計算してみました。
インクレミンシロップは1ml中に鉄6mgが含まれていると記載があります。
フェロミアは1日鉄として100−200mgを投与するので
大体16.7-33.3mlとなります。
この時Dr.は1日15mlで処方を出してきていたので、まあ妥当と言えそうです。
添付文書の小児量の中で1番多い量に合わせてきたのかもしれませんが、、、
インクレミンシロップの服薬指導の注意点
消化器症状や便が黒くなるというのは鉄剤共通でお伝えしておくべき点ですが、ここではインクレミンシロップで特に注意が必要な点を挙げます。
インクレミンシロップは先ほども述べたとおり、「第二鉄」ですので吸収効率が「第一鉄」である他の鉄剤に比べて下がることが考えられます。
そのため「VCを含むものと一緒に摂取する」ことをお勧めすると良いでしょう。
また、シロップであることから錠剤の鉄剤より直接歯に鉄が付着しやすいです。
その結果歯の表面に付着した鉄が空気に触れて酸化し、歯が黒くなることがあります。
他の鉄剤でも歯が黒くなることは注意すべきですが、インクレミンシロップは特に、です。
服用後はしっかりうがい、または歯磨きをするように伝えておくと良いかと言えます。
まとめ
インクレミンシロップは錠剤タイプの鉄剤で吐き気等の消化器症状がひどい方に向いていると言えます。
吸収効率が他の鉄剤に劣る点、歯が黒くなる可能性があるためケアをすることを注意して伝えていけるとより良い服薬指導になるかもしれません。
ではでは今回はこの辺で。
最後まで読んでいただきありがとうございました😆